キャットストリートプロジェクト

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 「原宿神宮前まちづくり協議会」の活動
原宿神宮前(穏田)地区では、2004年7月、国土交通省「くらしのみちゾーン」に指定されたことを受けて、同年10月から翌年2月末までの5ヶ月間、原宿神宮前まちづくり協議会の社会実験分科会により、「原宿神宮前くらしの道およびオープンカフェ等社会実験」が行われました。
この実験の成果が評価された同地区は、2005年3月、国土交通省「スーパーモデル地区」に指定され、ハード面での整備に向けた枠組みが整いました。これに併せて、原宿神宮前まちづくり協議会では、ソフト面での対応として、2005年11月から約1ヶ月間、「旧渋谷川遊歩道の荷捌きおよびフラワリングのためのソフトな仕組みづくり社会実験」を行います。ここでは、その活動の概略をご紹介します。

原宿神宮前くらしの道およびオープンカフェ等社会実験(2004年10月~2005年2月)
1.地域の問題・課題
穏田商店街は、隣接する表参道と比較して、歩行環境がかなり劣悪な状況にあります。狭あいな道路に林立する電柱、頻繁に流入する自動車の影響もあって、買い物客の回遊は芳しくなく、地場商店街の存立基盤にも関わる問題になっており、「人と車が共存できる仕組みづくり」や「快適な歩行空間づくり」が喫緊の課題となっています。

また、旧渋谷川遊歩道(通称キャットストリート)は、渋谷区により生活道路的なコンセプトで整備された区道ですが、通行ルール等の不徹底もあり、逆に、急増する通過交通や駐輪・駐バイク等への対応に追われています。

2.実験の目的・内容
(1)「歩行者の安全性・快適性の向上」のための実験
①道路に工夫を凝らし、車両のスピード等を抑える。

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【写真】交差点部分のカラー舗装と歩行者通行部分の緑色カラーリング

道路に工夫を凝らし、車両のスピード等を抑える。 旧渋谷川遊歩道に平行して走る狭い幅員の道路について、外側線や緑線(通学路部分)、段差路面塗装、交差点部分でのカラー舗装や自発光式道路鋲の設置など様々な手段を講じ、車両速度の抑制を図りました。

②道路上の違法な設置物等をなくす。
地元商店会・町会をベースにパトロール隊を組織し、警告板の設置や警告チラシの配布を行って、違法駐輪・駐バイク問題に対処するほか、路上にある置き看板や植木鉢は敷地内に引っ込めてもらうようお願いし、それらの取り組みが人や車の通行の安全性・快適性確保に与える効果を検証しました。

③遊歩道の通行ルールを徹底する。

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【写真】モルト樽型フラワーポット

緊急車両以外の車両の進入を禁止するなど、旧渋谷川遊歩道の「通行ルール」の徹底を図るため、各商店会、町会の方に遊歩道の出入り口部分の管理、違反者への注意をお願いしました。 さらに、遊歩道上にモルト樽型のフラワーポット30個を設置し、車両の進入を物理的に制限する実験も追加して実施しました。

(2)「買い物客の増加や回遊性の向上、地域全体の活性化」のための実験
①花や緑でまちを飾るフラワリング。
遊歩道を中心にまちを花と緑で飾り、買い物客の流入や回遊を促す取り組みを行いました。なお、花や緑の管理は、もっぱら地元の商店主や住民の皆さんにお願いしました。

②遊歩道の路面を一部木製とし、地域のために多目的に活用する。
遊歩道の表参道側からのアプローチ部分の路面を木製(オープンテラス)に変え、買い物客を呼び込むと同時に地域住民の憩いの場とし、かつ多様な地域活動の展開拠点とするため、カフェやイベントの実施に取り組みました。なお、オープンテラス上に設置した花や緑の管理は、神宮前小学校の生徒の皆さんにお願いしました。

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3.実験結果
(1)歩行の安全性・快適性の向上
「緑線(通学路部分)」や「段差路面塗装」、「自発光式道路鋲」等を組み合わせた箇所・区間では、車両速度の低下が見られました(平均速度では時速0.2km、最高速度では1.5kmの減速)。

(2)回遊性向上や活性化効
「オープンテラス」と「フラワリング」の相乗効果により、買い物客の増加と回遊性の向上が見られました(調査対象店舗では、通常時と比較して来店者数が約1.3倍の増加)。

概要図

旧渋谷川遊歩道の荷捌きおよびフラワリングのためのソフトな仕組みづくり社会実験(2005年11~12月)

(1)社会実験の背景
「くらしの道およびオープンカフェ等社会実験」(2004年10月~2005年2月)の結果を受けて、旧渋谷川遊歩道については、「歩行の安全確保」「荷捌き」「駐輪・駐バイク・置き看板対策」「景観」、さらには「効果の永続化」の点でまだ課題が残されており、ハード・ソフトの両面から早急に対応を講じるべきとの指摘がありました。

ハード面の対応については、国土交通省「スーパーモデル地区」の指定(2005年3月)を受けて、地区全域のハードな施設整備に向けた枠組みが整いましたが、旧渋谷川遊歩道に限っては、前提となる地元のソフトな体制づくりが不十分であるというのが現状です。

(2)社会実験の狙いと内容
そこで、ソフト面の対応として、原宿神宮前まちづくり協議会では、①「旧渋谷川遊歩道を安全・快適に歩ける道とするため」の荷捌きルールづくり、および②「旧渋谷川遊歩道から駐輪・駐バイク等を排除し、ふさわしい景観を形成するため」のフラワリングの実施が、緊急に必要になるものと考えられ、次の社会実験に取り組むこととしました。

①効率的な荷捌きルールの策定・浸透・管理運営体制づくり。
遊歩道内への物資の搬入は全て台車で対応するシステムとするなど、荷捌きルール案を新たに策定した上で、立看板等でルールを明示し、一定期間試行します。具体的には近隣の駐車兼荷捌き可能なスペースへの案内・誘導を実施し、エリア全体としての荷捌き効率の維持・向上を目指します。

②効果的なフラワリング方策の策定・管理運営体制づくり。
駐輪等のスペースを消し、かつ魅力あるヴィスタの景観を演出するためのフラワリング方策を検討します。例えば、遊歩道上の横断防止柵(フェンス)や既存の植込み付近を中心に、一定期間試行します。

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国土交通省「スーパーモデル地区」指定に伴う修景事業へ(2005~2007年度)
国土交通省「くらしのみちゾーン」の指定(2004年7月)を受けて進められた、原宿神宮前(穏田)地区の「原宿神宮前くらしの道およびオープンカフェ等社会実験」の結果を踏まえて、渋谷区では具体的な整備に取り組むため、国土交通省「スーパーモデル地区」に応募し、2005年3月、その指定を受けることができました。

「スーパーモデル地区」とは、身近な道路のニーズに応える先進的施策を強力に推進することを目的として、特に住民ニーズの高い「くらしのみちゾーン」など4つの施策を実施する地区について、国土交通省が特別に支援するものです。

今後、2006~2007年度において、原宿神宮前(穏田)地区においてはカラー舗装などの道路整備が、また旧渋谷川遊歩道(キャットストリート)においては電線地中化などの修景事業が予定されています。