設立趣旨

現在、国をあげて国際化を進める中、「美しい国づくり」「都市再生」や「観光立国」は重要な政策となっている。例えば東京の都市観光の場合、皇居・東京タワー・浅草に銀座・秋葉原などが加わるものの、観光が想定されているエリアはいずれも単調で繋がりに乏しく、1時間も歩けば概観できてしまう程度の規模である。一方、パリやロンドンの場合、観光に値する中心街は数百haの広がりを持ち、それぞれ見学には数日の宿泊を要するのが通例となっている。

ここで渋谷・原宿・青山地区を改めて評価してみれば、代々木公園・明治神宮・東郷神社・新宿御苑・神宮外苑・赤坂御所・青山霊園の緑に囲まれ、それを青山通り・表参道・みゆき通り・明治通りなど一流の商業街路が結び、その中に青山学院や国連大学の教育研究施設、岡本太郎記念館や浮世絵太田記念美術館・根津美術館、ヴィスタの景観を誇る絵画館前イチョウ並木や表参道ケヤキ並木が存在するといったように、国際的に見て決して遜色のない多様な観光資源を既に有していることに気付く。これらを人の目線において繋ぎ、調和のとれた美しい街として育成することができれば、国際的規模の一大商業・観光拠点にもなり得ることがわかる。しかし今日に至るまで、これら3地区を一体的に見て魅力を保全し、かつ創造するような発想・戦略・活動は存在してこなかった。原因として、行政・住民・企業の間に、こうした発想を育て広めるための交流の場がなかったことが指摘されるが、何よりもリードしていく主体が見当たらず、またリードしていくための適当な手段・方法論がなかったことが最大の原因と目されている。

そうした中、平成16年に制定された景観法(以下、単に「法」とする)は、われわれ国民に貴重な機会と有効な手段を与えてくれた。法第92条に「景観整備機構」が位置付けられ、その業務を法第93条に見る限り、同機構はまさに上述したリーダーとしての役割の一翼を担うにふさわしい組織と思料されるのである。

そこで渋谷・原宿・青山地区一帯を対象に(いずれは広く都心地区を対象に)、「景観整備機構」としての位置付けを視野に置きながら、グローバルな視点と人の目線で街並みづくりのリード役を務めていこうというのが本法人の狙いであり、設立動機である。企業と地元関係者、地域ブロックや行政区画、自治体と国などの間に存在してきた有形無形の壁を乗り越えつつ、むしろ相互に協働しながら、対象地区の輝かしい未来を創り上げるための先駆的かつ実践的な活動を展開していくことを基本とする。景観法はもちろんのこと、都市計画法や地方自治法など都市整備・まちづくりに関する諸制度・政策の精神に則り、具体的には美しい街並みや景観等の保全と創造、それを支える街のルールづくりと運営、タウンマネジメント、および関連の調査研究・社会実験・計画立案・提言・合意形成支援等を行い、国策としての「美しい国づくり」「都市再生」「観光立国」の実現を通して、広く一般市民の利益に寄与することを目的とするものである。